読み物

千年狐 じわじわくる面白さが癖になる

投稿日:2018年6月15日 更新日:

千宝による捜神記を面白おかしく見せてくれる作品です。

月刊コミックフラッパーにて連載中で現在三話。

コミックウォーカーにて二話まで見られますので読んだことない人はぜひどうぞ。
一月遅れで無料で公開って感じでしょうか。

僕は初耳でしたが、捜神記は4世紀頃の作品だそうな。
太古の娯楽を現代風に解りやすく、ということでしょうか?
元もこんなふうにじわりとくるお話なのか、それともアレンジ効きすぎちゃったのかわかりませんが…おもしろいですね。

千年生きた狐、廣天くんとその周囲の人物にスポットを当てた物語として描かれたのがこの千年狐。

三話まで見た感じだと、
一話完結型のギャグ漫画のようにも見えますが、物語を通じて徐々に廣天の立ち位置やら状況が見えてくる所もあります。
漫画にはそれぞれ独特な時間の感覚がありますが、こちらはなんとも長閑に時が進む気が。
今の所、これといって殺伐とした展開も無くにやけ顔で読めます。
癒し系な歴史コメディと言っても間違いではなさそう。

それでは一話から順にチラっと感想を述べていきます。

一話は、道士をからかう為だけに殺されたガチョウの魂を救うべく、イケメン道士に化けた廣天君が活躍するお話。

© 2018 張六郎

この話では廣天くんの優しい心根と人を化かせるくらい知識が豊富である事を知ることが出来ると思います。

大王の元からガチョウを連れ出した廣天君ですが、流行り病をうつされてしまった様子。

© 2018 張六郎

この苦し紛れな感じ…僕は嫌いじゃないよ!
木…華表という名前らしいですが作中で呼ばれてる所が見当たらない。
コミックウォーカーの登場人物紹介ページで知りましたが、彼の紹介文が昔は木だったという一文のみ。
積極的に煽ってきますね…今も木じゃねーか!と誰もが思うはずだけどなんか悔しいので大きな声では言えない感じ。

二話では廣天くんが冥府の使者さんと知り合いであることがわかります。

© 2018 張六郎

この事からなんとなくイメージ出来るのが、廣天君が死者を冥府へ案内するのはその優しさによるボランティアっぽい事。
そしてそれが使者と顔見知りになる程に繰り返されている事でしょうか。
とにかく廣天は心優しい狐って事はわかりますので、詳細が違ってても構わんですね。

三話ではある旅館の一部屋に宿泊する客に戦いを挑み、これまで何人も倒してきたへいへいさんと仲良しであることがわかります。
漢字探すのめんどくさい程に難しそうな字を使いますね…困ります。
うーむ、それにしても殺人狐と仲良しとは穏やかではありません。
思い起こせば一話ではどう受け止めて良いものか判断に迷う、偉そうな木とも知り合いのようでした。
彼も人間を良く思っていない様子。
恐らく廣天くんの仲間はアンチ人間。
しかし廣天は人間を嫌い切れずに関わりを持つ…という感じでしょうか?
いい狐、それが廣天!
というわけで露出は少ないながらも、交遊関係を元に妄想を爆発させることでその人物像が見えてきました。
人間のよきパートナー、かつての飼い犬にも似た無垢な魂を感じます。
なんだか廣天が無性に可愛く思えた来たぞ…?

最初から読んでいくと、一話ごとに画力がどんどん牙を向いてきます。

一話で人に化けた廣天くんはさっぱりとした雰囲気の儚げな美男子でした。

© 2018 張六郎

二話に登場した冥府大帝は緻密に描かれてて見事。
名前からしてとても偉くて堅物っぽいイメージですが、恐らく一番下っ端である使者ちゃんにも気さくな対応…素晴らしい大帝っぷり。
こんな風に登場人物に親しみを感じると、元の捜神記も読んでみたくなりますね。
どんなお話をどんな風に変えて読ませてくれているのか、とても気になります。
因みに使者ちゃんは正体を現すとこんな姿になりました。

© 2018 張六郎

なんで…?と思ってしまうデザインですがもしかすると捜神記にヒントがあるのかも?
因みに作中誰も顔面が尻みたいな事にツッコミません。
そんな優しい世界の物語。
溜息を吐く使者ちゃんはご覧の通り。

© 2018 張六郎

…屁ですよね?
怒る姿は力んだ尻にしか見えません。
桃の妖精的な存在かも知れないんだけど、千年狐を読む者の心得としては尻と思うのがマナーかと。

そして三話ではいよいよ劇画タッチに。

© 2018 張六郎

ヘイヘイと対峙する宋大賢の姿を追ってみましょう。
化け物がやってくると知らされても臆さず対峙しようとする宋大賢。

© 2018 張六郎

我が名はヘイヘイ…貴様らの世に災いを為す精怪よ

今宵もわしの牙は血に飢えておる…

こんなやべー事言っちゃう化け物が出てきました。

© 2018 張六郎

しかし宋大賢も負けじと言い返します。
渋い。

© 2018 張六郎

激闘の末に勝利した宋大賢が、ヘイヘイの舐めプを諫めます。
これまでヘイヘイに倒された者たちの死因も明らかに。

この高い画力と登場人物の掛け合いに表情筋が耐えられない。
じわりと笑わせてくれるのでニヤニヤしちゃう。
これは笑顔の練習にお勧めな作品かも知れません。
動物達も無邪気でお馬鹿で可愛いので癒されますね。
木はちょっとどう接して良いのかわかりません。

味わい深いギャグも結構癖になるし、最終頁の締めくくり方も好きです。

© 2018 張六郎

1話で無意味に殺されたガチョウ君が、明るく冥府へ向かうので救われますよ…オスなのに卵生むとか言ってるし。
こんなふうに毎度明るく話を締めてくれるのでスッキリ楽しい読後感なのがお気に入り。

千宝の捜神記も読んだらまた違った楽しみが増えそう。

6/25追記

第零話が追加されていたので読みました。
3,2,1という順に読んで面白いなぁ~なんて思ってたんですが、零話読んだらさらに面白い。
華表と廣天の事がよく分かる内容、そしていつものあの緩い掛け合い。
そして廣天のキャラと博識さのギャップが凄かった。
真面目な部分の話も素晴らしく、なかなかに引き込まれましたね!

花は涼風が撫でて薫る。
織物は横糸と縦糸が彩る。
一方が欠いては寂しいものだ。

なんとも美しいセリフではありませんかい…本当に廣天が言ったんですかねこれ。
おかしいなぁ…狐の時はお馬鹿で可愛いイメージなんですが。

最後の引きでえっ?と思わせつつやはり緩い所も好きですね。
廣天が女の子って…なんか驚いた。

狐の時はどっちかわからないし…人間の時もどちらかと言うとイケメンなので仕方ないと思う。

華表さんの失礼だなーって発言が結構刺さりますね。
こんな感じの読者弄り、結構好きです。
しかも零話はその気になればカッコよく渋めの幕引きが出来たはず。
なのにあのゆる~い雰囲気のおわりってのも僕が好きな所ですね。

木片を見て華表の生命が失われたと思って涙する廣天…と、思ってたら男性器をもがれたと思って泣いてたり、それを咥えて持ち帰るとか…このような突っ込み所を晒してくれるのもたまらんところ。

© 2018 張六郎

良くみると男性器と思っていながらそれを弄んでいる…細部まで油断ならないですね。

あと、華表て通称だよね…
個人名ではないよね…?
例えるなら電柱と呼ばれてる感じですよね?
…華表の扱いがわりと雑な所も素敵だと思う。
だけど斧を持った知事と戦うところはカッコよかったですね!

© 2018 張六郎

一見するとただの材木なんだけど、どうしてカッコよく見えるのか謎。

廣天を男と思ってたお詫びも兼ねて、
一巻が出たら買うしかありますまい。
何度目を通してもニヤリとしちゃう。

きっといつか読み返したくなるに決まってるので、手元に置いておきたい作品です。

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  1. […] 千年狐 じわじわくる面白さが癖になる千宝による捜神記を面白おかしく見せてくれる作品です。月刊コミックフラッパーにて連載中で現在三話。コミックウォーカーにて二話まで見られ […]

  2. J5460239 より:

    この作者の方かなり中国の古典に造詣が深くていらして相当読み込んで勉強なさっておられると思われますねえ。専門の方だろうか。

    • ペケジロー より:

      捜神記以外にも沢山の文献を消化して描かれているようですね~
      参考文献に張華の博物誌があり、その張華が物語に登場しているのが面白い(^_^)
      まだ始まったばかりですが、千年狐が完結したらそちらも読んで見たいと思ってます。

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