読み物

ホラー漫画【屍牙姫】 1巻のあらすじを追いつつ下僕的感想

投稿日:2018年4月12日 更新日:

主要な人物。

美輪子(みわこ)

見目麗しく立ち居振る舞い言動からして完璧にして揺るがない、ランキングが有ったら1位くらいのお嬢様。

©2017 佐藤洋寿

表紙で思いっきり自己紹介しちゃってる人外。

橘壮一(たちばなそういち)

©2017 佐藤洋寿

メガネ。いじめを受けている。お母さん病んでる。と結構えぐい環境に身を置いている。
人間でありながら、人外の美輪子の元へ男を案内している。
どういう経緯でそんな関係になったのか気になるメガネ。

広田修(ひろたおさむ)

©2017 佐藤洋寿

メガネによって美輪子様の餌にチョイスされる>理不尽
美輪子様の気まぐれで下僕にされる>理不尽
こんな風に彼女有りのリア充生活から急転直下して下僕ライフを余儀なくされちゃう可哀そうな元リア充。

大まかな感想

最初に読んだ時の感想は主人公が理不尽に巻き込まれつつも抗おうとするホラーな作品だな!
表紙の女性はドSで理不尽の塊でそりゃもう酷いのなんの。
これはいつか主人公がドS女王様をやっつける物語に違いない…というものでした。
1話毎に次回が凄く気になる引きで終了しており気が付いたら1巻終了という勢いも良い。
やはり引きの良さって大事ですよね、時には時間をすっ飛ばして遥か未来の一場面を持ってきており次回が待ち遠しくて辛くなるに違いない。
…作品自体がドSな作りになってるなこれは。
そしてこの作品、理不尽なドS女王様に人生滅茶苦茶にされた主人公が運命にどう抗うのか?
こんな感じで読み進めても面白いし、上で紹介した人物それぞれの視点で物語を読んでも面白い。
そして何度も読んでいると、実は裏に官能的な面を併せ持つ作品である事に気付いちゃう。
女王様美輪子の海よりも深く底知れぬ下僕愛。
この部分はズバリとわかるように描かれてはいないんだけど、見方を変えると見えてくる。
なんとも騙し絵のような物語。
そして気付いちゃったらもう手遅れかも。
ドSな怪物め…!と思っていたのがいつしか美輪子様と真心こめて呼ばずにはいられない程に心酔。
これはもしかして僕の中の下僕の心が目覚めたのだろうか。
でもやっぱり一見するとドSな行動が目に余るので、ドMな人にはたまらん描写がいっぱい。
これから女王様を目指そうという人にとってSとは何か?という問題に関しては聖書的な読み物になり得る…かも。
このように一冊で二度三度美味しい作品は稀なのでサラっと流さず舐めるように読んだ方がいいね!

初見の時くらいの感想 ※お馬鹿とネタバレに注意

※引用した画像は全て屍牙姫1巻からであり、著作権は著者・佐藤洋寿氏に帰属するものであります。

©2017 佐藤洋寿

©2017 佐藤洋寿

©2017 佐藤洋寿

壮一が虐めっ子の友樹君を美輪子邸に連れてきた所が美輪子様の正体お披露目の場面。
何も知らない友樹君はご機嫌である。

しかし美輪子様は表紙の通りクリーチャーなのでそんなうまい話があるわけが無いのである!
と、思ってたら美輪子様が全裸に。
これには友樹も大興奮。母ちゃん以外の裸を初めて見たよ!なんて個人情報まで漏らしちゃう。
そして背後からっ美輪子様がぬぅ…と近づき、ここで仕留める?

ヂュってことはやっぱりそうだったか…と思ったら耳舐めただけでした。
どういう事だこれは…まさか普通にエロスな展開に突入するのだろうか?まさか見ててこっちがオロオロする事になるなんて。
画力を極めつつある作家は皆さんこの構図に辿り着くのでしょうか?最近もこんな構図に目を奪われたような気が。
そしてなにより殺ったかどうだか曖昧で焦れったい!という読者のアドレナリンをお尻で鎮静化するという巧妙に仕組まれた1コマ…見事なり。

©2017 佐藤洋寿

©2017 佐藤洋寿

しかし次のコマで予想通りの展開が待っている事を確信し、安堵する事が出来ました。
ボクしってるよ、これ、しぼうふらぐっていうんだよ。間違いなく立ってるよしぼうふらぐだよ!
予想していたのは首から血を吸われてゆっくり死亡という展開でしたが、心臓を抜き取られるという激しいものだった。
衝撃の凄さはどちらかというと美輪子様の尻を見た方が判りやすいですね。
ここまで勢い良く引っこ抜かれると痛いとか思う暇ないんでしょうか。
たったまま死ぬという壮絶最後を遂げた友樹君…あはれ。

©2017 佐藤洋寿

©2017 佐藤洋寿

壮一君はというと、美輪子さんに絞り機のようなもので血液をあ~んしてあげてたのだが、なんとも手慣れた手つき。

そしてこの表情。
美輪子さんが全裸の時はヘッチャラだったのに、お食事中に大興奮するという…特殊な性癖ゆえに利害が一致したんでしょか。
まぁわからなくないような…なんかお乳とかお尻よりも見ちゃいけない光景に思えるのでエロスと言われたらそんな気もする場面ですね。
…ですよね?

そんな感じで、壮一は美輪子さんの下僕としてせっせと新鮮な心臓を持ってくる日々。
しかし下僕以上の使い魔ってランクがあるらしく、壮一はその話を美輪子さんに確認する。
でも美輪子さん、使い魔になるといろんなものを失う事になるから良く考えろと諭すように言うんですねぇ。
ドSなら嬉々として使い魔にしそうなもんですが、下僕を慮って考える時間と与えるなんてお優しい。
まぁこの時点では使い魔がなんのことだかわからんのですが。

そして言われた通りに失う物…とか一生懸命考えてる最中に目の前で彼女といちゃつくリア充修を目撃。
これまでも度々目にしていた光景なのに、何故かいら立つ壮一君。
なんと修を美輪子邸に連れて行っちゃいます。

©2017 佐藤洋寿

ドアを開けたら目の前に半裸の美輪子様。
美輪子さんも修のアドレナリンを最大限引き出す為に援護します。

だけど修はこれまでの獲物とは違ってリア充。
腕にある彼女とおそろいのブレスレットを見て我に返り、まさかの帰る宣言。
この想いもよらぬ反応によって、美輪子さんは修君に興味津々。

©2017 佐藤洋寿

©2017 佐藤洋寿

©2017 佐藤洋寿

物凄い力で腕を掴まれて動けない。
さらにさらに、美輪子のあなたの純粋なハートが欲しくなっちゃった宣言により大ピンチ。
美輪子は壮一に絞り機を持って来させて…絶体絶命。
壮一も悪い顔してますねぇ。

もう絶対無理だな…さらばリア充と思ったら…
いやびっくりな事になんかメガネの方が心臓引っこ抜かれるという謎展開。
これまで一生懸命心臓を運んできた下僕に対してあまりにも理不尽な仕打ちでは有るまいか?
僕は壮一君と共に話を追ってきたわけでして…。
ここまでは壮一が主役だったはず。
その主役をいきなり抹殺する美輪子様。
なるほど…美輪子様がルールという事ですね?
使い魔になる決心までしたのに、心臓抜かれちゃった壮一君。
そういえば、こうなる前に彼も死亡フラグが立ってしまい…慌てて鎮静化を図ってました。
立てたら死ぬというルールも有りそうですね。やむをえませんね。

©2017 佐藤洋寿

意識が薄れゆく中、健気にも自身の心臓を絞って美輪子に血液を与えようする壮一君。君は下僕の鑑だ。

©2017 佐藤洋寿

が、美輪子さんにあまりお腹が空いてないと断られちゃいました。失意の中で壮一は絶命。
ついさっき修を食べたいとか言ってたのにこの断り方は素晴らしいですね。
この状況、電話番号を聞かれた時に、携帯を操作しながら携帯電話を持ってないと答えるのと似てる。
おっとりとした言葉の中にお前の心臓なんかいらねぇ!という強い拒絶を感じました。
もの凄い追い打ちですねぇ…痺れる程にサディスティックです。

©2017 佐藤洋寿

©2017 佐藤洋寿

こんな光景を見ちゃった修君は当然逃げようとするんだけど、ドアが開かず脱出不可能。
こうなったら撃退するしかない!というわけで椅子で殴りかかるも美輪子様がつま先をシュッとしたら両足が切断されちゃいました。
もう血がドバドバ出ちゃうし動けないしで、何処かの誰かに助けを求めるしかない状態。
いやぁ…流石ですね。
自分で追い込んでおいてこの発言…溢れるドS力が抑えきれてません。
それにしても美輪子様、おっとりとした言動でやる事が物凄いですね。
この辺は慣れれば…というか癖になる所なので要注意かもしれない。
一応、助けられるけどそうする事によって発生するデメリットなんかも説明してあげる美輪子さんでしたが、修君が今にも死にそうなのでさっさとお口の牙で噛んで吸血。
うーん、やはりお乳見てるよりエロティックに見えちゃいます。
やはりどこからどう見せるか、というあたりのセンスが素晴らしい。

©2017 佐藤洋寿

ここでわかったのがこれまで心臓ぶっこ抜いて血液を得ていた理由
牙はなにやら特殊な成分を分泌しているようで、その為口で直接いくと吸われた人間が使い魔になるからだったんですねぇ。
と、いうことは壮一君を使い魔にする気は全然なかった事になる。
つくづく哀れなメガネ…それが壮一!

その後判明したのが、

牙の名称は屍牙
噛まれてそのままだと覚醒して美輪子様と同じ眷属になる。
半殺し状態を維持する事で半覚醒状態の使い魔を生み出す事が出来る。

で、毎日西日で3時間ローストを一週間繰り返された修の姿がこちら。

©2017 佐藤洋寿

使い魔レッスンの一環で解放された修ですが、ゾンビっぽい見た目になっちゃってます。
じっくり丁寧に痛めつけられた結果ですね。美輪子様はやっぱりドSですね。
さらにおかしなことに、他人の心臓の鼓動が狩れという言葉に聞こえるようになっておりそれを嫌う修でありました。

そんな中で普通の鼓動が聞こえたので、確認しようと近づいていくと、そこに居たのは彼女のチカちゃん。
俺俺!と接触を試みますが、やはり見た目がヤバいのでチカちゃんも誰かわからず。
当たり前のように逃げられちゃいます。
兎に角とどけ、俺の想い!という感じで追いかけ追いつき捕まえて、俺俺!と会話を試みようとした所で事件発生。

©2017 佐藤洋寿

腕捥げてますやん…。
当然、ちかちゃんは人間なので重傷をおってしまいます。
修君はこの車運転してたおっさんやら美輪子さんやら最終的にはメガネにまで怒りを向けるのですが…どう考えてもお前のせい

なんやかんやで美輪子がちかを助けてくれるそう。
修の命を救った屍牙の分泌液。それを使ってチカも救おうというわけです。
日光で効力を弱めているので覚醒しないというおまけつき。
その為の交換条件は新鮮な心臓を持ってこいというもの。
使い魔としての教育の一環でしょうか。
しかし見た目は怪物でも心は人間な修君はどうしても人間の心臓が狩れない。
そんな時目に入ったのがあの軽トラを運転してたおじさんでした。
こいつがあの時逃げずに救急車を呼んでいれば…!という発想の転換によっておじさんに接触。
しきりに俺せいじゃないって言ってくれという修君ですが…これは悪いのは自分だとわかってはいるけど現実を受けきれない為に出た発言ですかねぇ。
怪物になっちゃったにも拘わらず、実に人間らしい発言…皮肉なもんです。
怒鳴ったり腕を引っかいたりしたらおじさんは心臓発作で死んでしまいました。

©2017 佐藤洋寿

©2017 佐藤洋寿

不可抗力とはいえ、目の前には死体が有ります。
そこでおじさんの死体を美輪子邸に持ち帰り、約束は守ったといいはる修君。
新鮮なと言ったのに。といいつつ初仕事だからと許す美輪子様。優しい。
と、想ったらやっぱりおっとりドSでした。
動揺して騒ぐ修君のお口を糸で瞬時に縫い上げる腕前…女子力ドS加減も相当なものです。

ちなみに修君はこの時、おっさんの死体から心臓を取り出せと言われて大声出しちゃいました。
で、それなら教えてあげるという事で謎パワーで修の腕をハッキング。
手取り足取り教えてあげるなんて優しい…わけないですね。
やだって言うのに修の手を操作して無理やり教育しちゃってます。
いやぁ…穏やかな口調と背後の効果音がなんとも…。
口を閉じられた修、そして興奮しちゃったのか屍牙が出ちゃってる美輪子様。こちらも対称的ですね。
美輪子様のセリフが脳内で色っぽい感じに変換されちゃうのは下僕力が高まったせいでしょうか。
化け物なんですけどねぇ…なんか色っぽいんですよねぇ…。

その後、修君は気絶。
その口に美輪子様が心臓を絞って血液を流し込むと、無意識なのにゴクゴクと音を立てて飲んでました。
これは使い魔の本能的な行動なのだろうか?
意識が有ったらすごく嫌がると思うんだけど、良い飲みっぷり。

©2017 佐藤洋寿

そして目覚めると修の姿が元通りになってました。
体が元に戻り、テーブルの上にはちかの腕と屍牙製のお薬が。
急いで病院へ駆けつけ、チカの腕を付けると驚異的な速度で回復しました。

意識を取り戻し、腕まで元通りという奇跡。
お医者さんもこんなことが…なんて感動したり腕を診たりしてますが、そんなわけないよ!
これは普通なら世界中からメディアが殺到しかねない超常現象だと思うんですが、良かった良かったっぽい感じで何事も無く解決となりました。
この辺はあまり深く考えない事にして次へ進みましょう。

©2017 佐藤洋寿

姿が戻って、数日ぶりに家に帰った修が戻ってこれたと実感する場面。
この絵が凄く良い。
堪えきれぬ喜びやら安堵やら、感情が溢れちゃった感が伝わります。
まさか尻以外で目を奪われるとは思いませんでした。

©2017 佐藤洋寿

もうすっかりもとの生活に戻れた、そう安心しきっていたら事態は急変。
通学途中でいきなり体が変化し始めました。
これは使い魔が血液を摂取する事で一時的に人間の姿を取り戻せるという仕様の為。
つまり、美輪子様はそのへんの説明も無く修に血液を与えたわけですね。
当然、こうなる事はわかっていたはずなので…ドSですね!

多分、修は美輪子様からもう離れられない。

©2017 佐藤洋寿

天国から地獄って事で、またしても取り乱し森に姿を隠した修。
そこで別の使い魔に遭遇しました。
という事は…他にも沢山居そうですね、眷属やら使い魔。
この猪鼻さんによると、使い魔同士が狩場で接触したらば戦うしかないそうな。
確かに複数の使い魔で心臓集めてたら都合が悪そう。
まだ自覚のない修はあっと言う間に胴を貫かれてしまいます。

そこへお淑やかに現れた美輪子様。
帰りが遅いから心配して様子を見に来たとか言ってますが、猪鼻さんは時々こっそりと美輪子を監視していた様子。
その猪鼻さんが彼女と遭遇したことに驚いているのだから、現場は屋敷から結構離れているとみて良いだろう。
もしかしたら美輪子さん、修の様子を見守っていたのでしょうか?お優しい。

©2017 佐藤洋寿

©2017 佐藤洋寿

©2017 佐藤洋寿

美輪子さんをあんた程のと評してるので、やはり眷属は使い魔と桁違いのヤバさなのかも。
しかし、縄張りを離れると使い魔でも眷属を殺せてしまうそう。
猪鼻さんが殺られる前に殺ろうと攻撃を繰り出しました。
モコモコしてちょっとキモい地面を見てオロオロしちゃう美輪子様。可愛い。
直度に地面から猪鼻の凶器と化した腕が飛び出し、背後から美輪子様を串刺しにします。
勝ったと喜ぶ猪鼻さん、この日一番輝いた瞬間です。

んまぁ…美輪子様は揺るぎませんね。
胸部をぶち抜かれても常にエレガントでいらっしゃる。
骨の髄までお嬢様なのか、強者ならではの心の余裕ってやつなのかはわかりませんが、ここを見る限りではもうどうしようもありませんね。
美輪子様に余裕有り過ぎ。で、猪鼻さんこうなりました。
猪鼻さんの良く伸びる腕を使って編み物を開始。
そして鼻歌交じりという…なんとも優雅にドSな光景が。
相変わらず美輪子様の様子と効果音のエグさがミスマッチ。
最後は木の天辺に縛り付けられて、朝日によって焼かれることになりました。
見えないところでしっかりドS
猪鼻さんの最後のセリフは一般の代表的な意見でした。

傷ついた修を屋敷に連れ帰り、意識の無い修にとびっきりの情報をプレゼントする美輪子様。

猪鼻が使っていたように、テリトリーの外で腕を凶器に変え、それを使いこなす事で美輪子様を殺せるかもしれないのだとか。
その言葉に、無意識である修の体が反応し腕が武器化。
そしてそれは美輪子の喉元へ突き付けられたのでした。

©2017 佐藤洋寿

その様子を見て、美輪子さんが微笑むところで1巻はおしまい。

大まかな所を追って来ましたが、1話1話が兎に角面白い。
作品がちょいとホラーでありエロティックなので読む人を選ぶのでしょうか?
僕は読んでてすんごく面白いんだけど。
連載開始から次の話を待ち焦がれてモジモジしたかったくらいです。

 

下僕愛的なところ。

この作品、美輪子様を好意的に解釈する事で下僕への大いなる一歩を踏み出す事が出来ます。
それでは、かなりの下僕力を持っていた壮一君があっさり殺されてしまった場面での、美輪子様の行動について考えてみましょう。

修を連れてきた理由は恐らくリア充許すまじという逆恨みっぽいもの。
友樹君の時もまぁ個人的に恨みは有ったかも知れませんが、どちらかと言えばこいつ要らないしいいかな程度。
あの時淡々としていられたのはそんな理由だったのではないでしょうか?
ですが、修を差し出した時には壮一君から本音が漏れちゃってました。
悪い顔して死ね死ねと言っちゃってまぁ…本音と建て前を間違えちゃった感じ。

美輪子様はここで気付いちゃったんですね。
修は壮一が殺したくて連れてきのだと。
これはいけません。
下僕の壮一がご主人様である美輪子を利用しようだなんて…それはそれは酷い裏切り行為
ましてや使い魔になって美輪子様の為に…とか言っておきながら壮一は自分を利用している。
これでは下僕失格である。
しかし壮一は色々深入りし過ぎちゃってるのでリリースする事は出来ません。
それで、壮一は口から心臓が飛び出るくらいびっくりな事になるわけです。
この辺は面と向かって罵倒してもおかしくないような気もしますが、やはり美輪子様はエレガント。
あくまでも自分の気まぐれでやらかした風のやり取りをします。
壮一がショックを受けないように心のケア的な気遣いでしょうか?
まぁ死んじゃうんだけども。

そして、壮一が健気にも最後の力を振り絞って自身の心臓を差し出した所ですね。
美輪子様はお腹空いてないから~と断るのですが。
これは恐らく自分の下僕が提供したもの以外は受け付けないという…まるで下僕に操を立てているとでもいうべきお返事。
そしてこれは壮一君がその資格を失った事も意味しますね。
もしかしたら瀕死の壮一君ももう自分が美輪子の下僕ではないのだと気付いたかも知れません。
個人では無く、自分の下僕という存在に只ならぬ愛情を持っている。

と、こんな風にドM開眼しつつ読むとこれまた面白いですね。
ドSに見えつつも実は愛情豊かな美輪子様という視点で読むのもまた面白い作品です。

ちょっと片足があっちの世界に飲まれかけてるような気がするけど、帰って来られるだろうか。

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