僕が読んで面白いと思った小説をてきとーに紹介していきます。
そして僕のオツムの具合が宜しくないのでネタバレも混じりますね。
これはもうね、しょうがない。
おばかに付ける薬を飲んだけど全然治らない。
と、いうわけで多少内容に触れてもへっちゃらな宇宙よりも広い心の持ち主の人だけどうぞ。
清水潔
面白いというには緊迫感があり過ぎる内容。
それもそのはず、これは実際にこの国で起きた事件を追ったノンフィクション。
警察のやっつけ仕事によって菅家利和さんが犯人にでっちあげられ、あろう事かそのせいで真犯人に後の事件まで起こさせている。
読み進める程に警察とは、司法とはなんだ。という疑念にページをめくる手が止まらない。
そして著者は真犯人に接触している。
なぜ記者が辿り着けた人物にプロが辿りつけぬのか?
そして何故、未だに真犯人が野放しになっているのか?
その仔細が余すことなく記されている。
中の文章は演出なんかじゃ無くて、記者・清水潔が実際に経験した、生きた言葉で記されているのだ。
目が離せず響くのも道理である。
そして、これを読んだら今後の警察組織の在り方に注視するようになるだろう。
現時点でもエクストリーム自殺等、極めて利己的な調査結果がチラホラ見受けられるのでアカン雰囲気が漂っておるような気がしますけども…まだ正しく有ろうとする者も居るはずだ。
と、お利口さんっぽく締めくくりたいペケジローであります。
とはいえ、読了後はあんまりボロカスに書くと連れてかれちゃいそうだなーと思う程には信用が損なわれてしまいましたわよね。
だってしかたないんですよ!
仕事っぷりが僕みてーなんだもの…小事を取り繕おうとして大事に至るとか馴染み深過ぎて逆に親しみが沸くわい!
僕のような奴が警察なんてとんでもない!高潔な心を持った人物でねーと!なんて思ってたらこれだもんねぇ
とはいえ、もしこの事件をこのままスルーするようであれば、警察組織そのものの在り方が問われる事だけは確かだろう。
クリスチャン・ジャック
この作品を読んだらあらふしぎ、見た事ない古代エジプトの情景が目に浮かんできちゃう!
恐らく古代エジプトガチ勢な著者が実在の人物と研究結果をモデルに壮大なスケールの物語を書いちゃった的な?
ファラオや王妃の神秘性が書かれていると思いきや、人間だものって所も書かれている。
なのでファラオに親近感感じたりしたっけ…
印象に残っているのはファラオの求婚時のセリフ。
あれはカッコいいかも。ただしイケメンに限る。
後はもと敵軍のセラマンナが将軍になるんだけど毎日なんもせんとゴロゴロしててもファラオは放置。
戦闘時にも出撃させずに時は流れて飼い殺しか…?しかししかし…!って所も胸熱であった…
そしてネフェルタリは最高の奥さん過ぎるのでやはり偉大な王ともなると嫁さんも偉大だなーと思いました。
なんかお値段11円とかで送料の方がお高い感じで売られているけど面白い作品なのだぜー
僕がお勧めな作品で最もリーズナブルに楽しめちゃう作品なのではないかしら。
ファーブル
酒見 賢一
墨家と呼ばれる思想家集団のお話で、僕はこの作品で存在した事を知りました。
どんなご立派な組織でも時代と共に劣化しちゃうのは世の常なのか、墨家も代替わりを経て権力だぁ~い好きってスタイルに変化しつつあった。
その墨家に対し、舞台となる辺境のちっこい城が助けを求めた所、ほっとけばええんじゃなんの得にもならんのだし。というのが偉い人の反応。
しかし、初代である墨子の思想を貫こうとする男、革離が組織の意に反し一人で籠城戦を始めるんですね。
まず主人公のキャラに一本筋が通っている所が粋なのよね。
自分が身を置く組織に対して流されずに、己の信念を貫こうとする姿がかっこよい。
それでもって作中であれこれ語らないところも渋い。
そんな革離の指導のもと、ただの住人が大国の戦闘集団を次から次へと退ける様は痛快であった。
どう考えても圧倒的に不利な側が、負けるどころか相手に苦戦を強いる程の善戦をするのが兎に角楽しい。
最初は革離に対してなんじゃこいつって感じだった民が次第に士気を高めていく雰囲気に高揚感を感じた記憶がありますね。
しかし、ラストは意外な程に呆気なく革離の護った城は敗北してしまう。
大国側がお手上げじゃー!って程に次々と返り討ちにしていたのにどうしてこうなった!?
その理由はなんといえば良いのか…人間だもの。って事じゃろか?
革離さん厳しかったですからね…
薄めの本で淡々とした描写なんだけども、短い中に人間の性質ってもんが随所に練りこまれていて面白い作品。
ダイアナ・ガバルドン
新妻クレアがストーンヘンジで何かに巻き込まれおよそ200年前のスコットランドに転移することで始まる壮大過ぎる物語。
現地の住人は今の時代からするとんなアホな…という迷信のような事をガチで信じてるので現代の知識やら常識にしたがって行動したら魔女狩りじゃーい!と大ピンチになったりも。
かえらにゃ!と思ってるのに現地で出会ったジェイミーと結婚せぇ!という流れになってしまい絶体絶命かと思いきやクレアさん意外とノリノリでねぇフランクは?なんて思わされたりもする。
まあ…ジェイミー年下でイケメンだしな…ってなるかーい!なんて思ってたら彼の宿敵ランダルさんがなんとフランクとクリソツで酷いやつときたもんだ。
現代では行方不明の妻を必死で探していた善き夫フランクであったが、妻の方はご先祖の顔見てフランクの顔が生理的に受け付けない感じになっていくと…フランクさん、いとあはれ。
まぁなんと説明したら正解なのかよくわからんけども、結構ハチャメチャな感じで物語が進み、クレア自身のなんとなく知ってる程度の歴史感を頼りに悲劇を避けようとする展開は面白い。
ここが正念場やで!というところで、ジェイミーによってクレアは現代に戻されてしまい…その結末を歴史を通して知ることになると。
ここまでが第一部かなー
二部ではフランクの苦難に涙無くして見られない感じなんだけどそれは僕がおっさんだからで…イケナイ妻に憧れる現役の妻ならばクレア目線で大興奮なのかも知れない。
この作品の面白いところは、主人公補正が無いってところ。
今だと7シリーズで21巻分翻訳されてますが、神風的な展開はまるで無かったような気もする。
むしろえっ…マジで?と思うほどに彼らを打ちのめす事の方が多かったのではなかろうか。
しかしクレアとジェイミーは忍耐強くそれらを乗り越えていく所が良いんですよね。
とても良い夫婦。
いつのまにかフランクなんておらんかったんや!という雰囲気で読み進めちゃってましたね。
Huluでドラマが公開されてるので、ストーリーを知るならそっちの方が手っ取り早いかも。
書籍を集めるとなるとちょっと巻数が多いのと、新シリーズの追加が数年単位で来ないので待ってる間に忘れちゃいそう。
来年出版されると聞いたらまた一巻から読み直して予習が必要かも知れない。
それでもって一冊が分厚いし文字数多いしで読みごたえは保証しますぞ。
活字中毒な人にもお勧め。
ジュード・デヴロー
今思えばこの作品はなろうでお馴染みの婚約破棄絡みな作品のテンプレなのではなかろうか?
主人公が婚約破棄する事になったり異世界じゃないけど相手が現代に来ちゃったり自分が過去に行っちゃったりするし、知識差を利用して衛生面で無双したりする所もなんか近い。
さらには歴史を参考にして未来を変えるなんて所もゲームの知識を利用してなんとかしちゃう展開と似たようなもの。
しかしこちらはなんというか雰囲気が現実寄りであるのでゲーム?転生?なにそれな乙女やおっさんでもすんなりと入り込める世界観。
過去の人物が現在にやってきて美味しい料理に感激しちゃったり、自分の時代と比較して恐ろしい程に発展した歯科医療にびっくらこいて大興奮だったり、はたまた現代のもやし系男子が失ってしまった紳士っぷりをこれでもかとヒロインにブチかまして当初のギスギスはどこへやら、気が付いたら何故かメロメロしてやったぜ!なんてコテコテな展開なのにニヤリとしちゃうほどにしっかとロマンス。
恋愛に障害はつきもの!って事で二人の間に立ちはだかる障害となるのが、皮肉にも二人を出会わせたタイムトラベルってのがまた面白い。
さらには現代で己の歴史を見てなんじゃこりゃなんとかせにゃ!って事で色々対策を練っていたはずのカレピは過去に戻ったら全部忘れて元通り。
カレピの愛称はコリンだったかな?
今思えばこれはコリンが記憶を失ったというより現代にやって来たコリンが消滅したのではなかろうか…なんて思うんだけど恋する乙女にゃそんなの関係ねぇ!とばかりに強気な姿勢で辛抱強く何とかしようとする所は何ともハラハラさせられる。
これは恋に落ちて失ってまた取り戻す的な展開ですね?そして努力は必ず報われると。あるある~!
過去に行った事で現代の困ったしがらみ、その原因が判明したりするところもタイムトラベルあるある。
お話の骨組みはよくあるものかも知れないけど、時の彼方の恋人ならではの雰囲気はしっかと存在しますので、これは安心して読んでもOKな作品。
ラストはなんというかこれで良いんだ?とちょっと不思議な気分になるんだけどもそれは僕は乙女じゃなくておっさんだからなのかも知れない。
この作品を僕は3回読んだ!おっさんなのに…3回も!
つまり、面白いって事なんだ!
畠山健二
時代小説というと剣術バトル!なんて僕がもっていたイメージを見事にぶち壊してくれちゃった作品。
笑えて泣けて、じ~んと来た!と思ったらまたすぐろくでもない事しちゃったりして目が離せない、そんな愉快な住人達の物語。
現在11巻まで発売中。
浅田次郎
色々読んだ中でやっぱこれだよな!という作品は次の三つかなぁ。
やはりちょい悪主人公の作品がピッカピカに輝いて見える。
こちらは全三巻。
損な生き方してきた刑務所上がりの三人が出会ってやりたい放題しつつ人生に折り合いをつけていくお話、で合ってるじゃろか?
ピスケンも滅茶苦茶で面白いけども、軍曹も意外とぶっ飛んでいるのでお気に入りの人物だ。
お話はビシっと終わってるんだけど、それでももっと読んでいたい。
そんな寂しい気持ちになってしまう。
今でもたまに読み直すよ!
こちらは全四巻。
狂った作家、木戸先生がやっぱり滅茶苦茶しまくる作品。
愛人をこき使ったり元旦那にその様子を見せつけたりとまぁろくでもない、それが木戸先生!
ホテルの客が巻き起こす騒動も毎度面白く、それでいて人の心の切なさや美しいさを捻じ込んでくるという、作品自体も困った仕上がりなので感情が揺さぶられまくる。
皆、何かを抱えて生きているんだなぁ~なんて思わされちゃった。
何故か読了後は素敵なものを読んだ気になってしまうので、これも良いですぞ。
こちらは現在5巻まで出ているのかな?
まだまだ続くと思いたい。
お年寄りの松蔵さんが留置場に居る困ったちゃんに教訓として聞かせる昔話。
それが警察でも有名な天切り松の闇語り。
所長までもそれが聞きたいとやってくるそのお話は、時として楽しく、悲しく、切なく、やるせない。
説話としてはこれ以上ない程にクリティカルなその内容が聞いた者の心を癒し勇気付けたり改心させたりする。
なんだか塀の中で松蔵さんに直に聞かされているような気さえしてくるから不思議。
印象に残っているのは振袖おこんの本気の恋話だなぁ…人を心から愛するってのはこういう事なんだってのを見せつけられた気がしちゃうよねぇ…
他にも椿山課長の七日間やら鉄道屋やらメトロに乗って、そして蒼天の昴も、その他にも沢山読んだけれど、僕はこの三作品が好きだ。
是非とも読んでみて欲しい。
佐伯泰英
僕が時代小説にドハマりした切欠となった作品で、なんと全51巻の長編小説。
主人公である磐音が姦計に巻き込まれ、許嫁の兄であり友でもある琴平を斬ってしまう事で物語が始まる。
この磐音さん、序盤から滅茶苦茶苦労しよるのですがいろいろあり過ぎて説明が出来ませぬ。
そして剣の腕前はお強いのだけども時には強敵と対峙し苦戦したりもするのでやはりめっちゃ苦労人。
なんというか、武左衛門って言うどうしょうもないお友達も居たりして僕ならギブするレベルなのに最後まできっちりお友達でいる義理堅さ。
磐音は生まれついての苦労性なんでしょね。
でもそんな人物だから人望有りまくりで人気者。
主人公が人から好かれるってのは読んでいて嬉しいもんです。
その流れで今津屋という昔の銀行的な後援者に恵まれたりして色々な人に助けられつつ困難を乗り越えていくところも良い。
しかしそれに甘える事無く頑張るその意気も良し!
磐音の生き様が全51巻へと詰め込まれておりますので、その波乱万丈としか言いようのない人生を追っかけてみてはいかがじゃろ!
僕はどちらかというと、鰻割きのバイト生活と何でも屋の掛け持ちでギリギリな生活をしていた時が一番好きかも知れない。
書籍は文字が大きめで通常の書籍より若干読みやすい。
決定版は19巻まで、そして新・酔いどれ小藤次へと続いてただいま12巻まで発売中。
爺無双なお話であるがそれは剣術だけにとどまらない…何故かどえらい年下の美女に好かれるという恋愛でも無双するうらやまけしからんお年寄りのお話。
その強さに痺れつつも沸きあがる嫉妬と憧れにどうしたものかと思っていたらお爺ちゃんなので腰を痛めて弱気になっちゃったりして唐突に主人公の体の心配をしつつ読む羽目になったりして時代小説という古っぽいイメージな作品なのに新しい感覚を与えてくれちゃう所がたまらない。
こちらは紙問屋さんに気に入られてあれこれ気を聞かせて貰えるんだけども、それに甘える事無く研ぎを生業にするその心意気が渋い。
決闘の相手から自分が負けたら俺の子育ててくれない?とか言われてやむを得ず育てる事になったりするので小藤次もやっぱり苦労性。
そして、困難を周囲の人の助けを借りつつ…という所を共に乗り越える事で小藤次がその時々感じる感慨やら葛藤が沁みる程によくわかる。
かっこよい爺になる為に小藤次を見倣いたいもんです。
因みに作者もご高齢なのでお体の健康を願いつつ新刊を待つ日々。
なので新刊が出ると滅茶苦茶嬉しい!