メイドインアビス第三巻を読んで、感じ、想った事を記しています。
ところどころネタバレしちゃってますので、初見は作品で!というスタイルの方は、スルーした方が良いです。
既に作品を知っていて、あの部分について、こいつはどう思ったのかな?という人や、
僕と同じく、内容を知らされていても作品を楽しめちゃう人であれば、
見ても気分を害する事はないかなぁ…という度し難いページとなっております。
それでは、宜しければ続きをどうぞー!
生存訓練
オーゼンの度し難い精神攻撃がレッスンであったとわかって一安心。
いやぁ…それにしても素晴らしい演技力ですね!
えっ…?
あっ…はい。
ストレートに伝えれば『これ以上潜ったら君たちはあっという間に死んじゃうよ?』で済むのでしょうが、
やはり気分が盛り上がっちゃってる二人には、言って聞かせるより実感させる方が有効なんでしょうね。
さらには演技じゃねぇぞまだまだやってやんぞ白笛なめんじゃねぇぞぉ!という感じに気を引き締めさせているのが上記の場面。
演技と知れたら少なからず気が緩むだろうし、訓練にも身が入らないでしょう。
一番意地の悪そうなオーゼンが、一番二人の行く末を案じているのだと思いました。
と、なると2巻の感想での、マルルクの間、あれは『こいつ、わかってるやん!』という感激の間であるとも思えますね。
どっちだろう。
ともあれ、10日間の生存訓練とアビスの知識を叩き込まれてレベルアップした二人。
リコにとって朗報だったのは、深層と地上では時間の感覚が狂うという情報でした。
5層の深部で数週間過ごしたつもりが、地上に帰ったら数か月経過していたなんて事がよくある。
そしてその狂いが6層、7層と進んだらどうなるか見当も付かないのだとか。
もしかするとライザは思ったより時を過ごしていないかも知れず、生きている可能性が高いという素敵な考えをオーゼンさんが提案。
リコは抱きしめたくなる程嬉しかったみたい。
このような自分の感情に素直な行動がリコらしく、良い人たちに囲まれて育ったんだなぁとほっこりしちゃいます。
アドバイスはさらに続きます。
5層には他の白笛が潜行中であり、彼らに出会わないように5層にはなるべく留まらないようにとの事。
先導卿 選ばれしワクナ
神秘卿 神秘のスラージョ
黎明卿 新しきボンドルド
上記の三名の中で、特にボンドルドは筋金入りのろくでなしで、オーゼンさんみたいに優しくないそうです。
個人的に…ここ最近で一番レベルの高いお前が言うなでした。
そういえば、2巻の回想にて何者かに負傷させられたオーゼンさんが見られますが、犯人はボンドルドの可能性が高そう。
しれっとワクナさんという新人が追加されてますね。
3人とも異名も見た目もヤバい感じ。どう見ても燃えてるようにしか…というより人間に見えない。
次に、ライザの手紙と思われた紙について新たな情報が。
文字はライザが書いたものでは無く、そして何をしても破ることが出来ない紙は未知の遺物であると言い切るオーゼン。
一体奈落の底でライザと待っているのは何なのか?
そういえば、母さんからの手紙だからわたしのだもん!という謎の理屈で手紙をチョロまかした人が居ました。
地上で指名手配されてないといいですが。
オーゼンによるレクチャーはまだまだ続き、白笛限定の情報なんかも教えてくれちゃいます。
なんと、現状知り得る全てを教えてくれたようです。
これにより、現時点で最新の深界情報を学習したリコ達。
もう準備万端じゃないか…これで奈落の底へ一直線。
さらに追い打ちでオーゼンはライザの墓標の様に突き立てられていた無人槌、ブレイズリーブをリコに渡しました。
尽きない火薬、ピースフォビアを内臓しているようで、普通の槌を遺物で改造した代物だろうか。
ライザが数多の血を吸わせたという事から、かなり強力なものでしょう。
これからは撃ったら寝ちゃう火葬砲に代わってこちらを代用していくことに。
おまけに、これならリコも使えるので大幅な戦力の上昇です。
深界に対する知識と状況判断力、さらに新たな武装まで…全部オーゼンさんのおかげです。
性格は度し難いが最高の師匠と誰かが言っていたのも納得の結果。
修行パートが終了し、二人が新たに旅立つ日の場面。
ここで新たな謎が発生しました。
レグについて、やはり探窟の技術は飲み込みが早かった。
とか、色々思い出すまで行かせたくは無かった。
なんて呟くオーゼンさん。
一人の時にはこんなに思いやりのあるセリフが出ちゃうなんて…もしかするとツンデレ卿なのかも知れない。
デレ…無いですね。
オーゼンはレグの事を以前から知ってたみたいですが、どういう繋がりで知っているのかが良くわかりません。
ライザが深層に向かったのは10年前だし、回想にはレグは出てこなかったし。
レグが最初はオーゼンの知り合いで、絶界行に向かうライザに同伴させたのならもしかして?
しかしこれだとライザの封書に記述されたレグっぽい人影の説明が付かないですね。
深層でレグと出会ったライザが、情報交換の為にオーゼンの所に派遣でもしていたのでしょうか?おまえ、ロボだから平気だろくらいのノリで。
うむむ、気になって仕方がないので早めにこの疑問が解消されると嬉しい…。
オーゼンとライザは実は連絡を取り合っていて、レグは情報の伝達係に任命されていたとしたら。
そして理由は謎ですが、今度はレグをリコの元へ派遣して連れてこいという事だったりして。
でもレグ同伴だと温いし、きちんと探窟家にもなってほしいからとりあえず記憶でも失っておけと頭部を強打…
リコレグ深層ご招待計画に関しては何人かグルで、何も知らない二人は苦労をしながら深層を目指しているところなのでは!
うん、リコ流の真実と同じくらいふわふわした想像だ…。
オーゼンとライザがグルという見方をすると、ライザの封書のレグの部分が怪しい。
実は絶界行する前からレグを発掘していて、チョロまかしていたという可能性も。
その辺の才能が娘にも継承されている事であるし。
殲滅のライザという異名からして、レグの火葬砲を使ってバンバンやっつけていたのかも知れない。
こんな事を考えるのもお楽しみではありますが、早く真実を知りたいところです。
大断層
第三層は数kmある垂直の断崖であり、穴の中央には危険な生物が飛び回っている状態。
リコ達はネリタンタンというモフモフしてとても可愛い小動物の巣を利用して降下してました。
体が小さいリコ達だから可能な方法。
普通サイズの探窟家はどうやって降りているのか気になる所。
巣を移動中なのでお食事もネリタンタン。
こんなに可愛くて無害な生き物が三層で生息している。
奈落での生活は単純な強さでは無く、どう向き合うかに掛かっているのかも。
リコ達に巣を荒らされて、時々食べられて、さらには囮として利用されたりとやりたい放題されちゃってるネリタンタン。
単体では一層でも生きていけないかも知れません。
彼らは繁殖力の強さによる個体数で弱さを補っていると推測。
こんなかわいい生き物を連れ帰り飼育しようと、誰も思わなかったのでしょうか?
大人しく無害なのでペットに向いていると思うんだけども。
もしかすると、深界の生物はアビスの中でしか生きられないとかいう真実が有ったりするのかも。
ネリタンタンに無双しつつ下を目指していると、途中でベニクチナワの襲撃がありました。
なんとレグに顔面を吹っ飛ばされた個体が追ってきた様子。執念深い。
でも、火葬砲の欠点についてオーゼンから注意を受けていたレグさんなら…!
と思ったら早速撃とうとしました。
リコの機転によって使わずに済みましたが、レグは気負いすぎな印象を受けた場面。
レグにぶっ飛ばされたベニクチナワに飛行中の小さい生物が襲い掛かった所も印象的でした。
アビスで隙を見せるとこうなるよ!という大自然の教えだろうか。
この三層はベニクチナワのホームのはずなのに…厳しい。
群がる生物の数がちょっと多いので…ベニさんはアビスに還ったのでしょう。
深界四層
絶景再び。静止画でもワクワクしちゃう地形。
蒸気で視界が不鮮明なので、他に生物は見えません。
ここは案外楽勝で通過できそう。
と、思ったらやけに尖ったやつが出てきました。
気付いたら後ろに居たという不気味な奴。
その名もタマウガチ。
本来はトカジシという名前ですが、その性質に探窟家達が付けた名前が定着したそうな。
食性が草食なのに性格が猛獣で背中の棘に致死毒まで持ってるという度し難さ。
命や手足を落とした探窟家が100人以上…
そんなやつが二人の背後にいきなり登場。
さぁ…初見時の気分で書いてみます。
まぁでもほら、訓練したし?
きっとなんとかギリギリの所で逃げられたりするでしょう!
リコ知識により戦闘回避を最優先、レグは逃げようとした!
しかし!回り込まれてしまった!
リコが奴は自分より大きいものに怯む!なので鱗傘を広げてやればビビるはず!
というわけで広げてみたらとても可愛らしい傘でした。
むしろレグと読者がビビった瞬間です。
極限状態に追い込まれた人間の思考が悔しいくらい再現されているような気がする、そんな場面でした。
知識のみとはいえ、その危険性を十分理解していたリコならではの間違いですねこれは。
矢面に立つレグもまた、リコのいう事聞くしかない状態。
なんとも緊迫した様子がヒシヒシと。
金属の傘を貫通する毛針ってかなり物騒です。
タマウガチが草食系である必要性が感じられません。そんなに強いなら肉を喰え、肉を。
あっ
もうこの時点で先が読めなくなり軽く混乱しました。
メイドインアビス…なんと恐ろしい事にこの作品、主人公補正なんて無かった。
これまで数多の人に助けられ、頑張ってここまでやって来た我らがヒロイン。
その腕に致死毒を持った針がブスリと刺さってます。
しかしよく見れば微かな希望も描かれている事に気が付きました。
ちゃんと関節部分を強く握って全身に毒が回らないように対処している事から、死ぬ気は無いという意思を感じる。
問題はしつこいタマウガチをどうするか?という事になりますが、
逃走経路は一つだけ。
上しかないという…。
つくし卿、もうやめて!
上まで逃れたものの、事態は深刻。
上昇負荷により全身から血を吹き出し、さらには毒に侵されるリコは見るからに重症。
刺された腕も頭と同じくらいまで腫れています。
朦朧とした意識の中で、リコがレグに指示したのは腕の切断。
しかも、切る前に骨を折れとも言います。
この場面から本当の意味での奈落への旅が始まったのだと思いました。
遊びじゃ無いんだぞ的な意思を感じる。
作中で後述される、リコの覚悟も見られる大事な場面。
凄惨を極める場面ですが、ここではリコさんの悲鳴だけお借りします…。
字面だけできついのがわかるのが恐ろしい…。
レグが涙ながらに頑張りましたが、リコさんの呼吸が停止しました。
…まさかの主人公死亡。
ナナチ
泣きじゃくるレグに、背後から声をかけた者が居ました。
見るからに人ではない存在。
アビスにも知的生命体がいるのか?なんて思ったものです。
どうやら助けてくれるとの事で彼のアジトへ移動。
名前はナナチ。成れ果てだそうな。
ライザの封書にも書かれていた成れ果ての答えがここに。
ぬいぐるみのようでとても可愛らしい…。
医療に詳しいようで、テキパキとリコの治療を始めてくれます。
タマウガチ毒の解毒剤なんてものも持っている様子。
リコの血尿がついたパンツを洗いに行く途中、レグの記憶が少し戻ってました。
この宝石のようなものは、リコがレグ発見時に回収していたような。
もしかするとレグのメモリー的なアイテムかも知れません。
レグに持たせたら色々思い出すのでしょうか?
ミーティも成れ果てであると言って紹介されますが、ナナチとは全く違う外見。
6層の上昇負荷により、人間性が消失した者を成れ果てという。
途中、リコの持つ白い笛を見て回想するナナチでしたが、出てきたのはなんと白笛ボンドルド。
筋金入りのろくでなしのボンドルドと一緒に何かの実験をしていた様子。
もしかすると危険人物なのかもしれない。
しかし、それにしてはとてもフレンドリー。
ナナチはアビスの呪いが見えるらしく、その特徴を教えてくれたりもします。
意識にまで反応して動く力場であり、深層生物はこの力場の動きを察知して先読み行動を取ることが可能だとか。
タマウガチの勘の良さもその為なのだそう。
実践する為に狩場へ出ると、そこで他の探窟家を襲っているタマウガチを発見。
黒笛でも構わずに襲い掛かる荒ぶるタマちゃんが草食動物なんて嘘だ。
おっさんを救出するついでにタマちゃんをやっつける事になりました。
ナナチのレクチャーを受けてタマウガチの動きを封じる事に成功するレグでしたが、リコをあんな目にあわされて激オコです。
迷う事無く火葬砲をぶっぱなしました。
ナナチは驚愕の表情を浮かべていましたが、その理由はすぐに判明。
彼ははミーティを殺す方法を長年探していたのでした…。
回想
ミーティを殺す。
こんな事を頼むからには、ナナチは詳細を語らねばなりません。
三巻に入ってから我々読者に対するつくし卿の厳しさは増すばかり…。
この場面も見るに堪えないところです。
オース、恐らく岸壁街にやって来たボンドルドさんが子供たちをスカウトしに来た場面から始まります。
白笛からのスカウトされるのは孤児達にとって、まさに夢のような話です。
それはそれは大勢の子供たちがボンドルドの元へ集まりました。
その中にまだ普通の子供だったナナチとミーティの姿が。
奈落へのあこがれを語るミーティは、どこかリコと似たような雰囲気を持っています。
ボンドルドの基地は5層にあるのですが、なんとゴンドラで来ている。
一気に降下出来るのだとしたら凄く便利だと思いますが、来るときは上昇負荷有りますよね…白笛ともなるとへっちゃらなのでしょうか。
ともかく、筋金入りのろくでなしで評判のボンドルドさんの口調がとても紳士的で優しい。
オーゼンさんによるネガキャンなのか?
そ、そんなことはなかったー。
深層6層の上昇負荷、死か人間性の消失をどうにかしたい。
その研究の材料として子供たちを集めてました。
オーゼンさんの言う通りでした。
子供たちが順番に呼び出され、徐々に姿を消していたのはこういう理由だったとは…。
ミーティも白笛を目指していたんです。
探窟家に憧れて、これからナナチと一緒に冒険にでるつもりだったんです。
それが、呪いを片方に押し付けられる装置に入れられ、自分が呪いを押し付けられる側と知らされます。
辛い場面ですが、ここでのミーティの表情。
ナナチに伝える事を考え、覚悟を決めているのだと思うと胸が詰まります。
こうして、成れ果てと化したナナチとミーティ。
ナナチは暫くの間茫然と生きていた様子でしたが、ボンドルドによりミーティの呪いの副次効果を伝えられます。
二重の呪いを受けたミーティは死ねなくなったのでした。
ボンドルドへのヘイトがモリモリ上がっていく場面です。
成れ果てにしても飽き足らず、今度は実験として手足をすり潰したり…しかもナナチに9回目とか悪びれもせずぶっちゃけてます。
ミーティを連れてボンドルドの元を去るナナチ。
それは恐怖に怯えてではなく、
自分が人間で無くなったら再びナナチの元に魂が還るように殺して欲しいという、ミーティの願いを叶える為の行動でした。
リコの負傷は自然の驚異という感じでしたが、こちらは完全にボンドルドによる人災です…。
お別れ
ナナチの願いに対し、レグは暫く考えさせてほしいと一旦保留。
ナナチ特製奈落シチューの度し難さに恐れを為したレグは、自分がやるしかないとタケグマのレグ焼きを作る。
奈落シチューより美味しくないという結果。
そしてそれを完食するナナチ。
リコの回復が待ち遠しい。
今まで通りの生活が続くように見えましたが、レグがナナチに答えました。
ミーティを消滅させた後、そしてリコを助けた後でも自ら命を絶たない事を約束させて。
ミーティのベッドや周囲に敷き詰められた沢山のぬいぐるみ。
これだけでもナナチがミーティをどれほど大切に想っているのかが伺えます。
別れが大切な者の救いとなる状況は辛いものです。
ミーティの魂は救われましたが、それはナナチにとってはとてもつらい事でもあったという…
個人的に、ここが三巻で一番辛い場面でした。
そして哀しい雰囲気、その余韻に浸る間も無く襲い掛かるけだものが。
水を差すかのような登場にヘイトが鰻登りです。
上昇負荷が無くとも血が噴き出しそう。
どうやらミーティの生体反応をチェックしていた様子。
それにしてもここまでの事をしでかしながら、どこか他人ごとな感じ。
よく見れば尻尾も生えているので、既に誰かに呪いを押し付けている…。
回想時には生えていなかったので、ナナチ達の犠牲によって得た研究の成果が得られたという事でしょうか。
ぬぅ…実に腹立たしい。
まとめ
3巻を一言で言い表すとするなら…ナナチですかね。
十分な準備を整え挑んだはずの深界第四層で危機に見舞われたリコ達を助けてくれて…こんなに有難いモフモフは他にいません。
また。自身も結構キツイ過去を持っているのに明るくふるまう強さ。
この強さが悲しい。
小さな子供だったのにどうしてそんなに気丈になってしまったのか…ボンドルドのやろうめ…ゆるせねぇ!
巻を増す程に密度を増していく物語。
気付けば読者も奈落の深層に足を踏み込んでいると言わざるを得ない。
この三巻には見るに堪えない場面がいくつも有って辛いのなんの。
おかしいな…2巻まではいろいろありつつも、どこか希望をもって読み進められたのですが。
3巻で僕らに襲い掛かったこの感覚は一体なんなのか。
ボンドルドにスカウトされたと思ったら、実は研究材料にされるためでした!と言われた時のミーティに感情移入してしまいます。
きっと楽しい冒険が待っていると読み進めていたら、そんなに甘くねぇんだよ…!と3巻目で思い知らせてくるスタイル。
このボンドルド的なやり方…まさか。
とはいえ、ここで後戻りするにはもう知り過ぎている。
この先でも同等以上の凄惨な場面を見せられるのかと思うと恐ろしい。
でも、見ないわけには行かない。
…僕もそうとは知らずにラストダイブをさせられていたようです。
楽しい冒険が始まるよ!と言われてゴンドラに乗せられて戻れない所まで…。
唯一の救いはそうですね、ナナチが度し難い程可愛いって事ですね。
ナナチを見て辛い現実から目を背けるのが幸せです。
出典元 メイドインアビス 第三巻