最初に書いておかねばならないのは、4巻で終わりであるという事です。
それも最終話を見れば明らかに打ち切られちゃったような終わり方。
ジェットコースター的に言うと、
ぐんぐん高度を増していく最中、
僕らが
『えぇ!いったいどれくらい高いところから降下するの!?やっべぇ!マジやっべぇ!!』
と興奮度MAXな段階で
本日の営業は終了しましたのでそこから勝手に飛び降りろ~♪
と言わんばかり。
そりゃないぜー…
それにしても、なんで打ち切った?というのが素直な感想ですね。
編集部は漫画を読むということが出来ないのでしょうか?
あの未完の名作と名高い度胸星で味わった無念さを、
こうして再び感じる事になるとは、なんとも哀しい。
度胸星も、鬼死ねも最後まで見たかったなぁ。
そんなわけで、この作品は完結していません。
四巻を読み終えた時点で非常に残念な気分を味わう事になるのは間違いない。
まさにこれから!という段階で終わってしまうのだから。
そんな、罪作りな作品に仕上がってしまっています。
でも、だからと言って読まないのは勿体ない。
故に、この面白くも未完の作品をご紹介いたします。
主役は鬼の双子で、赤鬼の阿羅太(あらた)と青鬼の伊純(いずみ)
鬼が現代社会に溶け込んで暮らしており、人に鬼であると知られてはいけない。
鬼の99%を赤鬼が占めており人間と比べて身体能力が高く、一般的な鬼のイメージそのまま。
青鬼は存在自体がレアではあるが、身体能力は人と変わらない。その代わりに治癒能力を持っており、治された相手は直前の記憶を失う。
1巻ではこんな二人が人とどう関わっていくかが描かれています。
鬼に備わった特徴の一つに嫌悪感や不快感を与えるオーラがある。
青鬼にはこのオーラはないっぽいのでイズミは一見普通の人間です。しかし彼は鬼として人を蔑む気持ちも持ち合わせている。
そしてアラタは鬼とは思えない程のお人良し。人間と仲良くなりたくてしょうがない。
でもオーラのせいで人間にはアラタの良さがわからないんですよねぇ。
この背景一面のG、人間がアラタを見るとこのウジャウジャしたGを見たのと同じ気分になるという事でしょうか。
こりゃ確かにきつい。
バルサン焚きたい。
こんなオーラを放っているので学校では虐められちゃったりしています。
しかし頑丈なので殴られても効かないし、お金を持ってこいと言われたら深夜に町中の小銭を拾い集めて持っていくという…本当に良い子。
鬼パワーを本気で出すと天パからパンチパーマに変化するところが素敵だと思う。
これはアラタが友達を作るために頑張る物語なのかと思いきや、
他の鬼も関わってきて事態は一変したりと飽きさせない。
鬼の集落から逃げてきた女性との出会い。
アラタ、感激の余り見たものを叫ぼうとするの図。
そして出会って数秒で首をへし折られるという衝撃的展開。
何が起こるかわからないので常に警戒を怠るわけには行かないのがお分かり頂けるでしょうか…。
この鬼の女性もなかなか良い性格した人でした。
アラタの首をへし折りながら、勘違いだとわかると『早く言ってよ』と言い放つあたし悪くない宣言。
これ、イズミが治療してなければ最後の言葉があれなアラタ。
死ぬとは思ってなかった様子はアラタの顔を見ればわかりますね。
凄く真剣な眼差し。
その後、彼女を追ってきた鬼たちとアラタの戦い…
戦いと呼べるのかわからないアラタ流の攻撃がちょっと笑える。
これで勝つから凄い。
ある時は、同級生が鬼と人間のハーフと発覚し、とりあえず見た目から鬼になり切り、『決めたぜ、俺は、鬼になる』と言い放つ彼の姿は正にバカ。冗談ではなく大真面目に言っているところが良い。
笑いととシリアスのバランスが絶妙で、3巻以降シリアス寄りになりつつもギャグはしっかり捻じ込んでくるところは流石です。
アラタは見るからに地味であり、これといって賢いわけでもありません。
しかし何事にも一生懸命な姿にはとても好感が持てます。
こうと決めた時の行動力も凄まじいものがあり、また諦めない姿に胸を打たれる場面も。
後半で彼らに振りかかる不幸、それを打ち壊すべく動き出し一歩一歩進み始め…
あのくすぐり攻撃をしていた優しいアラタも変わらざるを得ない。
ちょっと寂しい気もしつつ、強くなっていくアラタを追う展開。
という凄く良い所で何故終わらせたのか。
無念というより他にありませんね。
途中で終わってはいるものの、アラタという個性に出会う事は出来ます。
是非、一度読むことをお勧めしたい作品です。