悦楽るーぷへお越し頂き誠に有難うございます。
幼少期に地上1mから地球に頭突きをした場合の好例とも言うべきペケジローです。
さて今回は渦中の遺物、欲望の揺籃、その仕様をこれまでの描写から出来る限り抽出した結果を記したいと思います。
不足や間違いが有ってもそれは頭突きの後遺症です。
願いを叶える卵では無い
揺籃を使用した事でイルミューイは子供を産めるようになりました。
しかし、産みたいという前向きな気持ちよりもむしろ、子供を産めないが為に捨てられたというトラウマを抱えていたように見えます。
ヴエコと共に暮らすうちに笑顔も見られるようになり、新たな環境を受け入れてもいました。
この時イルミューイは自分が子を産めない事をも受け入れていたのではないかしら?
それなのに揺籃はイルミューイが子を産めるように変えてしまう。
この事から揺籃は願いの叶え方のアプローチが斜め後方宙返りくらいズレているように思えました。
これは使用者の願いを叶えると言うよりも、
トラウマを解消する遺物なのでは。
ほのかにコレジャナイ感を添えて。
干渉器達が「幼体の恐怖は原初に近い」とも言ってましたが、恐怖をトラウマと言い換えても違和感はありますまい。
子供がモフモフのヤドネに似ているのもトラウマが関係しているように思えます。
そんなヤドネとイルミューイに起きた事件を振り返りますと…
危険生物に捕食されようとしているヤドネを、イルミューイは我が身を省みず助けようとしていましたね。
ヴエコさんが止めねばイルミューイも危なかった事でしょう。
これはペット感覚というよりは母性に近いように思えます。
イルミューイにとっての「子」はあのヤドネだったのでしょうね。
そして生まれたのが…
そっくりだけれど呼吸器や消化器の足らない子供でした。
圧倒的コレジャナイ感。
揺籃はいくつかのトラウマを解消してはくれたものの、子を失うトラウマはその後何度も繰り返す結果となりましたね。
何れ死ぬという事実がワズキャンのお気楽クッキングに拍車をかけたように思えるのは、また別の要因が絡んでいるのかも知れません。
それにしても痒いところに手が届かないというか肝心なところで役に立たないというか、ポンコツよね。
願いの押し付けが出来てしまう。
イルミューイが現在の位置へ大移動を開始し、イルぶるとなった原因は2つ目の揺籃にありました。
昏倒しているヴエコさんに一時的に持たせた揺籃をイルミューイに持たせた事で、
ヴエコさんの感じているトラウマをイルミューイの肉体を使用して解消する仕組みになっていたのでは。
ヴエコさんが水もどき症で苦しむ。
イルミューイが産んだ子を食す事で水もどき症の改善がなされる。
ヴエコさんは現状を地獄と感じながらも何もできない自分に無力さを感じ鬱屈した日々を過ごす。
適した環境へ向けて大移動を開始しイルぶるを形成し、安定した生活の場を得る。
という流れだったのでは。
成れ果て化の辺りはもしかするとベラフさんも関係しているのかも知れません。
ワズキャンが置いていけというベラフに対し、君でなければダメなんだと言ってますね。
これは成れ果て化の引き金として必要であるという意味だったのでは。
ここで第一村人ベラフさん誕生の場面を振り返ってみましょう。
ベラフさん、魂の叫び → ピシッ
イルミューイは子供を食い散らかした隊の者に怒りを感じているはず。
それなのにここではその一員であるベラフさんの叫びに応じています。
この事から二つ目の揺籃にはベラフのトラウマも仕込まれていた可能性がお高い。
イルミューイが体を張って他人の願い、トラウマを解消する結果となってしまっていますね。
つまり、他人に揺籃を押し付ける事で、押し付けた側はノーリスクで願いを叶えられてしまうわけですよ…ずるい。
僕にわかりやすく例えますと、
僕が揺籃にタッチし、その後ジェイソン・ステイサムに揺籃を持たせると…
俺に髪は似合わないというナイスガイなステイサムの頭皮に豊かな草原が生まれてしまう…みたいな?
例えが悪いですね、誰も幸せになれない。
でもまぁだいたいこんな感じです。
…忘れてください。
ワズキャンの行いもこの裏付けとなるのではあるまいか?
もし願いの押し付けが出来ないのであれば、ワズキャンが自分で揺籃を使用する理由がわかりません。
しかも咲きかけててまで。
体が咲きかけておるという事は、願いが散りかけているという事になり、この時彼の願いは叶ってはいないはず。
彼の願いはなんだったのでしょうね。
道半ばで旅を終える事に対する恐怖でしょうか?
そんなワズキャンがリスクを冒してまで揺籃を使用し、肉体ごとイルミューイへ捧げ、イルぶるへ囚われる選択をする…矛盾を感じますね。
ですが、この過程も預言への布石であると捉えればしっくりと来ます。
その先にある目的を達成する為にイルミューイへ願いを押し付けたのでしょうね。
そして今まさに収穫の時を迎えようとしていると。
一度触れた者のトラウマを保持し続けるのだとすると、初期のイルミューイの体が歪に変化した理由にも思い当たる節があります。
それは食料調達の途中で揺籃を見つけて別に何も願ってないのに勝手に咲かされちゃったジャビスさん達のもの。
3人分のそれ程でもないトラウマが作用した事で、イルミューイの体はあのように変化してしまったのかも知れませんね。
その後、ヴエコさんが倒れている時に2つ目の揺籃を持たされ、イルぶるの原型というべき形に変化していったのではなかろうか。
ファプタを産みだしたのはヴエコさんかも知れない。
ファプタが誕生する際のヴエコさんの言葉を思い出してみましょう。
ああ
よかった
イルミューイ…あなたは何も
何も許しては居なかったんだね。
「よかった」
これは決死隊によって願いを踏みにじられたばかりか、その身を巣食われる事になったイルミューイの末路と、勝手に赦されこれまで願いを踏みにじって来た彼女の体内でのうのうと暮らす村人。
そのような状況がイルミューイの無念という形でヴエコさんのトラウマとなり、ヴエコさんを参照していた二つ目の揺籃が生み出したのではないかしら。
そうしてイルミューイとその子供達の無念を晴らす為の存在として、村人絶許不滅のファプタが誕生したと。
誕生の過程と共にヴエコによって淀みなく語られるイルミューイの気持ち。
これって実は、ヴエコさんがイルミューイはそうであるべきと願っていただけなのでは…?
ヴエコさんはその後長年に渡って村の信号を見ていた事で、今はなかなか悪くないと思うようになったものの…当時は怨念に近いものがあったでしょう。
ワズキャンが都合よく利用していた願いの乗っ取りがこのような形で仇になったと考えると良い意趣返しにございますね。
最後までペケジローのロマンの暴走を読んで頂き有難うございます。
後で大変な目に遭うとわかっちゃいるけども、遺物一つからいろいろ考えを拡げられる所がメイドインアビスは面白いんですよねぇ…