表紙をみてなんとなく1巻を読んじゃったんですよね。
今思えば、表紙の踊り子たちの笑顔に惹きつけられたのかも知れない。
女性中心な物語ですが、おっさんも読んじゃいました。
面白くて、笑えて泣けて哀しくて、読めて良かった作品です。
一巻を読み終えると、自分が漠然とした価値観に縛られてはいないだろうか?という事に気が付かされる。
40過ぎたらおっさんおばさんなんて誰が決めたかわからない価値観を、進んで受け入れる必要なんかないんだと。
おっさんて言われるような年になったからといって、自分からおっさんする必要はないのですよ。
そうだ!体はおっさんだけど頭脳は青年なんだ!言い過ぎました!
いい歳だからと落ち着いた雰囲気の服を選んで…とかしなくていい。
髪型だっていろいろ挑戦したって構わないでしょ!くそぅ!材料さえあれば。
こんな風に思えてしまう程に、作中の登場人物…特にオババ達はヨボヨボだけどパワフルなソウルを持っていた。
二十歳の時も、四十の時も、そして六十の時でも自分は変わらないと言えばいいのか。
心の有り様次第なのだという事を体感させてくれる、そんなオババ達が眩しい。
そして、それに引っ張られるかのように日々明るくなっていく主人公、
そんな主人公に同僚も影響され…と良い変化に顔が緩まずにいられない。
見ていると頑張るぞ!という元気が湧いてくる。
しかし毎度賑やかで笑える話かというとそうでもなくて、神妙に読み進めねばならない話もある。
タイトルにも出てくるジルバという名の女性。
その女性が作り上げたクラブ、OLD JACK&ROSEが主な舞台であり、オババ達はそこの先輩ホステスなのですが。
ジルバのその波乱に満ちた人生と、店に飾られた笑顔の彼女の写真。
ブラジル日系移民の置かれた状況と想い。
震災後再び歩みだした、福島に住む主人公の弟家族。
オババ達一人一人が、ジルバとの出会いを主人公に語り聞かせてくれるのですが、せつない話も笑える話もある。
そして現在、オババ達全員ニカッっと素晴らしい笑顔であることに、艱難辛苦を乗り越え飲み下した彼女たちの心強さを感じずには居られない。
主人公と一緒に一歩ずつ踏み出して行こうじゃありませんかい!
ちゃんと生きないと、自分がもったいないから。
その女、ジルバ は現在4巻まで出ております。
僕はkindleにて購入しちゃいました。
期間限定での一巻無料につられてみたらまんまと4巻買うはめになるなんて。
どうもfireHdを購入し、kindleを利用してから漫画の購入が止まらないですね。
何冊置いても潰れない本棚を手に入れたせいでしょうか。
kindle版は話毎に飛べない作りになってますのでちょっと不便。
最後に、魅力的なオババ達と主人公のお顔をご紹介します。
主な舞台はOLD JACK&ROSE という、ホステスさんを募集しつつも40歳以下お断りなんて条件がある高齢ホステスがいるクラブ。
主人公の笛吹新(うすいあらた)40歳が偶然目にしたホステス募集の張り紙には、時給2000円と40以下お断りの文字が。
張り紙を見る直前までこんな表情。
その彼女が思い切って店内で足を踏み入れる場面に踏み出す勇気を貰える。
いろいろあって働けることになり、源氏名はアララに決定。
先輩ホステスさん達がこちら。
アラタと言おうとしてアララと言っちゃうエリーさんは入れ歯。
皆さんとても美人で…した!
彼女達の心はあの当時から変わっていないんですね。気の持ちようというか、
腰も痛いしヨボヨボだし偏西風が吹くと関節が悲鳴を上げるし…
そんな具合に加齢の攻撃は休まる事を知らないというのに、皆さんとてもパワフル。
椅子に座ってラインダンスというのがなんともリアル。
でも、皆さんやっぱり良い笑顔です。
アララが後ろでマラカスを振っているのは、お客によると大人になってからじゃないと自ポ法に引っかかるからだそうです。
ぬぅ…このお店に行きたいんですけどどうすれば。
そんな彼女達と働くうちに、徐々に明るさを取り戻していくアララを見て嬉しく思えます。
そして、意外にもお客さん多数。
マスターも認める本物の婆専男子、ジューゾー君は20代。
バイト代で通うつわものである。
アララをみてキレる様は格が違う。
和平さんも素敵でしたね。
わたしなんて40歳なのに…と言えば40歳なんて14歳さ…と返し、
最近服もきつめだし…と言えばにいけない服だ…君より痩せているなんて…と返すフォローの達人。
何故かおっさんの僕もときめいてしまった。
店で生き生きと笑って過ごしていくうちに、アララにも良い笑顔が増えていく。
アララが変わっていく姿を見ているだけでも楽しい作品ですね。
作中には戦後を生きた人々の人生がギュッと詰まっているので、楽しいことばかりではありません。
オババ達とマスターが語る想い出話には重い話も多々あります。
ナマコさんから聞いたジルバとの思い出話では、毎度目が滲んでしまう。
そして皆のしわくちゃな良い笑顔で救われるのです。
他にも作中でドキッとするような名言や迷言が飛び出すので、ドキッとしたりフヒッと鼻から空気でたりで忙しい。
時間のある時に、ゆっくり丁寧に読みたい物語。